男性のプレコンセプションケアとは?
福井の泌尿器科専門医が解説する完全ガイド

【この記事の結論】・精液検査の流れは「受診・問診 → 精液の採取 → 分析 → 結果説明」の4ステップ。痛みを伴う工程はありません。 ・採取前の禁欲期間は2〜7日が目安。長く我慢するほど良い結果が出るわけではありません。 ・結果はWHOの下限基準値と照らして評価しますが、これは「合格ライン」ではなく目安です。1回の数値で一喜一憂せず、必要なら複数回で判断します。 ・異常があっても取れる選択肢は複数あります。結果説明では必ず「次の一手」までお伝えします。 |
この記事でわかること
- 精液検査を受ける当日の具体的な流れ(予約から結果説明まで)
- 採取方法(院内採取と自宅採取)と、それぞれの注意点
- 検査前の禁欲期間は何日が適切か、なぜ長すぎても短すぎてもいけないのか
- WHO基準値の意味と、結果を正しく読むための考え方
はじめに――精液検査は「怖い検査」ではありません
精液検査と聞くと、「どうやって受けるのか想像がつかない」「なんだか気まずそう」と身構えてしまう方が多いかもしれません。しかし実際には、痛みもなく、身体への負担もほとんどない検査です。流れと準備の仕方さえわかっていれば、決して構える必要はありません。
この記事では、精液検査を受ける当日の流れ、採取前の準備(禁欲期間)、そして最も気になる「結果の見方」までを、泌尿器科専門医の立場で順を追って解説します。読み終える頃には、受診のイメージがくっきりと見えているはずです。
1.精液検査の流れ――4つのステップ
精液検査は、大きく次の4ステップで進みます。

STEP 1 受診・問診――禁欲期間などの準備をご案内
まず受診し、問診で妊活の状況や既往歴、生活習慣を伺います。ここで、検査当日までの禁欲期間や採取方法についてご案内します。「妊活の相談」とだけお伝えいただければ結構です。デリケートな内容も、診察室で医師と一対一でお話しいただけます。
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STEP 2 精液の採取――院内または自宅で
指定された方法で精液を採取します。採取には、医療機関内の専用の個室(採精室)を使う方法と、ご自宅で採取して持参する方法があります。どちらが可能かは医療機関によって異なります。自宅採取の場合は、採取後の時間経過や温度で精子の状態が変わるため、指定された時間内(一般に採取後1時間以内が目安)に、体温程度の温度を保って持参していただく必要があります。容器や運び方は事前にご案内します。
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STEP 3 分析――検査室で数値化
採取した精液を検査室で分析し、精液量・精子濃度・運動率・正常形態率などを数値化します。分析には一定の時間がかかるため、結果はその場ではなく後日のご説明となることが一般的です。
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STEP 4 結果説明――数値と「次の一手」をセットで
後日、医師が結果を数値でご説明します。当院では、単に数値をお伝えするだけでなく、その数値が何を意味し、次に何をすべきかまでを必ずセットでお話しします。ご夫婦での同席も歓迎です。妊活の方針を一緒に共有できます。
2.検査前の禁欲期間は何日が適切か
精液検査の準備で最も大切なのが、採取前の禁欲期間(射精をしない期間)です。適切な目安は、2〜7日程度です。

なぜ幅があるのか、そしてなぜ「長ければ長いほど良い」わけではないのか。ここには理由があります。
- 禁欲期間が短すぎる(1日未満など)と、精液量や精子の数が少なめに出やすくなります。
- 禁欲期間が長すぎる(1週間を大きく超える)と、精子の数は増えても、古くなった精子が混じって運動率や質が下がる傾向があります。
つまり「たくさん溜めたほうが良い結果になる」という思い込みは、むしろ逆効果になりかねません。検査予約が決まったら、その日から逆算して2〜7日の範囲に収まるよう調整してください。前回の射精からの日数は正確な評価に関わるため、問診の際に医師にお伝えいただけると助かります。具体的な日数は予約時に個別にご案内します。
3.結果(WHO基準値)はどう読むのか
結果票には、いくつかの項目と数値が並びます。これらはWHO(世界保健機関)が示す「下限基準値」と照らして評価されます。主な項目と基準値の目安は次のとおりです。
| 項目 | 調べること | WHO下限基準値の目安 |
|---|---|---|
| 精液量 | 1回の射精で出る精液の量 | 1.4 mL 以上 |
| 精子濃度 | 精液1mLあたりの精子の数 | 1,600万/mL 以上 |
| 総精子数 | 1回の射精に含まれる精子の総数 | 3,900万 以上 |
| 運動率 | 動いている精子の割合 | 42% 以上 |
| 前進運動率 | まっすぐ前に進む精子の割合 | 30% 以上 |
| 正常形態率 | 正常な形をした精子の割合 | 4% 以上 |
(数値はWHOのマニュアル第6版に基づく目安です。検査機関により表記が異なる場合があります。)

基準値は「合格ライン」ではありません
ここで、非常に大切なことをお伝えします。WHOの下限基準値は、「これを上回れば妊娠できる」という合格ラインではありません。多くの妊娠実績があるカップルのデータを分析して、その下位5%にあたる値を目安として示したものです。したがって、基準値を下回っていても自然に妊娠する方はいますし、逆にすべて基準値以上でも妊娠しにくいことがあります。
また、精液の状態は体調・ストレス・睡眠・禁欲期間などによって日々変動します。たまたま体調の悪い日に受けた1回の結果が、その方の本来の状態を正しく表しているとは限りません。だからこそ、1回の数値だけで落ち込んだり安心したりせず、必要に応じて期間を空けて複数回検査し、総合的に判断します。
数値の意味は一つひとつ丁寧にご説明します。専門用語が並んで不安になる必要はありません。大切なのは数値そのものより、「その結果をもとに、次に何をするか」です。
たとえば「運動率が基準値をわずかに下回った」という一つの結果だけを見て、ご自身で調べて不安を募らせる方がいらっしゃいます。しかし、その日の体調や禁欲期間の影響かもしれず、生活習慣の見直しで改善する余地もあります。数値の一部だけを切り取って過度に心配するのではなく、全体像と経過を医師と一緒に見ていくことが、正しい受け止め方です。結果票は「不安になるための紙」ではなく、「作戦を立てるための地図」だとお考えください。
4.結果に異常が見つかったら――その後の進み方
もし結果が基準値を下回っていた場合でも、慌てる必要はありません。男性不妊は、原因や程度に応じて取れる選択肢が複数あります。

- 生活習慣が影響している場合:禁煙、減量、睡眠改善、陰嚢の温め過ぎを避けるなどで、数か月後の改善が期待できます(精子は約2〜3か月で新しく作られます)。
- 精索静脈瘤が見つかった場合:治療可能な代表的原因です。精子の状態や症状によっては、手術による改善が期待できます。
- ホルモンの異常がある場合:薬物療法で対応できることがあります。
- 精子が非常に少ない・見当たらない場合:体外受精・顕微授精などの生殖補助医療を検討します。ごくわずかでも精子があれば、お子さんを授かる道は残されています。
当院で対応できる検査・治療はクリニックで行い、手術や高度生殖医療が必要な場合は、連携する専門医療機関へ責任を持ってご紹介します。「異常=妊娠できない」では決してありません。原因がわかることは、遠回りを避けて適切な方法に進めるということです。結果説明では必ず「次の一手」をご一緒に考えます。
5.「気まずさ」への配慮について

精液検査への心理的なハードルは、多くの方が感じるものです。当院では、受付や呼び出しの際に検査内容が周囲に伝わらないよう配慮しています。泌尿器科は患者さんの大半が男性で、さまざまな目的の方が受診されているため、待合室にいるだけで受診理由が知られることはありません。「思っていたより気楽だった」という感想を、多くの方からいただきます。ご不安な点は、予約時のお電話でお気軽にお尋ねください。
まとめ――流れがわかれば、精液検査は怖くない
精液検査は「受診・問診 → 採取 → 分析 → 結果説明」の4ステップで進む、痛みのない検査です。採取前の禁欲期間は2〜7日を目安に整え、長く溜めすぎないことがポイントです。結果はWHO基準値と照らしますが、これは合格ラインではなく目安であり、1回の数値で判断せず必要なら複数回で評価します。そして異常があっても、取れる手立ては複数あります。
大山クリニックおよび福井はるえ内科泌尿器科クリニックでは、日本泌尿器科学会専門医・指導医が、検査から結果説明、必要時の専門医療機関へのご紹介まで一貫してサポートします。両院とも駐車場完備・紹介状不要です。「まず流れだけ聞いてみたい」という段階でも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。
▶ 何を調べる?費用は?:男性のプレコンセプションケアでは何を調べる?

ご予約・お問い合わせ:大山クリニック/ふくいはるえ内科泌尿器科クリニック
※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものです。記載の基準値・採取方法は目安であり、詳細は受診先の医療機関の案内に従ってください。個々の診断・治療については診察のうえでご説明します。

