泌尿器のがんについて
泌尿器のがんには、前立腺がんと膀胱(ぼうこう)がんがあり、どちらも早期に見つけて適切な治療を行えば長期的に健康を保つことが可能です。特に前立腺がんは、日本全体での10年生存率が98%以上というデータがあります。当院では、前立腺がんや膀胱がんの検査や治療を実施しています。また、地域のがん拠点病院との連携も整っていますので、負担の少ない適切ながん治療が受けられます。
前立腺がんの診療
●症状と検査
前立腺がんは、進行しない限りは自覚症状が少ないですが、健康診断の血液検査に「PSA(前立腺がんの腫瘍マーカー)」という項目が入っている場合には簡単に調べることができます。このPSAの数値に異常があれば、早期に受診することが可能です。
●治療
前立腺がんは、男性ホルモン(テストステロン)の影響を受けて増殖するため、その働きを抑えることが治療につながります。前立腺がんの治療は、腫瘍の広がり方や悪性度、全身状態によって選択肢が異なります。早期がんでは前立腺を摘出する手術や放射線治療が選ばれます。進行がんや再発例を含めて幅広く行われるのがホルモン療法(アンドロゲン遮断療法)です。
ホルモン療法にはいくつかの方法があり、当院では外来で次のような治療を行っています。
- LH-RHアゴニスト・アンタゴニスト注射薬:1〜6か月ごとに皮下に注射する方法です。精巣から男性ホルモンが分泌されるのを抑えます。
- 抗アンドロゲン薬:内服薬で、男性ホルモンががん細胞に結合するのを防ぎます。
- 新規内分泌療法薬:内服薬で、再燃や転移を伴う場合、より強力にホルモンの経路を抑えます。
膀胱がんの診療
●症状と検査
膀胱がんのサインとして非常に特徴的なのは血尿です。特に痛みを伴わない血尿が1回でも出た場合には、一度、泌尿器科を受診してください。また、喫煙は膀胱がんの大きな危険因子のひとつであり、非喫煙者に比べてリスクが高いことが知られています。
膀胱がんの診断には、膀胱鏡(内視鏡)検査や、尿に含まれる細胞を詳しく調べる検査などを行います。
●治療
膀胱がんの治療は、腫瘍の広がり方や深さ、患者さんの全身状態によって治療の選択肢が異なります。
がんが粘膜内にとどまっている場合は、体への負担が比較的少ない内視鏡手術が第一選択となります。術後に、がんの再発を防ぐ目的で膀胱内に薬剤を注入することがあります。この膀胱内注入療法は当院でも実施しています。
がんが進行した患者さんでは、膀胱の全摘手術や化学療法でがんの進行を抑える治療が必要になる場合があります。その際には、基幹病院と連携して治療を行い、当院では術後の経過観察や補助療法を担います。
当院での対応内容と地域の専門医療機関との連携
当院では前立腺癌に対するホルモン療法や膀胱がんに対する抗がん剤の膀胱内注入療法などを実施しています。大病院に通わなくてもスムーズに治療を継続できる環境です。通院の待ち時間や移動の負担を軽減しながら、長期にわたる治療を安心して続けられるよう支援しています。また、ホルモン療法の副作用として生じることがある、ほてり、疲労感、骨密度低下などに対しても、生活習慣の工夫や必要に応じた薬の併用で対応します。
さらに、当院では、福井県内のあらゆる基幹病院と密に連携しています。手術や放射線治療、抗がん剤の点滴などは基幹病院で行い、ホルモン療法や維持療法、がんのフォローアップは当院で行うなど、患者さんにとって最も負担が少なく効果的な医療を提供しています。
医師よりひとこと
前立腺がんも膀胱がんも、早期に発見できれば十分に治療が可能ながんです。血尿や検診でのPSA値の異常といったサインを見逃さず、少しでも気になることがあれば早めにご相談ください。
当院では「患者さんと一緒に治療を考えること」を大切にしています。必要な検査や治療は丁寧に説明し、不安を抱えたまま進めることはありません。大病院との連携体制も整っていますので、安心して受診していただければと思います。
監修・文責:大山クリニック 院長 大山伸幸


